市川市民診療所
サイバー診察室
医療法人社団千葉県勤労者医療協会 市川市民診療所
〒272-0032 千葉県市川市大洲4-10-21 TEL:047-376-2788 FAX:047-379-2077

| ホーム || 診療案内| 案内図 | 河野医師より | お知らせ | 併設施設(居宅介護支援) | 関連機関 |
| 市川市民診療所ブログ/友の会情報など | サイトマップ |

 ドクター河野のアレルギー講座


はじめに (2004.5.31更新)
A.アレルギーの診断 (2004.5.31更新)
B.アレルギーの治療 (2004.12.5更新 ※「11.最近の治療から 2」を追加)
C.食物アレルギーの医療 (2004.3.31更新)


見出しはじめに

『アレルギー』の増加が言われてもう随分時間がたっていますが、その後もますます増えていることが指摘されています。特に話題とされるのは、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、杉花粉症などだと思いますが、その他にも多くの症状や病気がやはり『アレルギー』を原因として増えているように感じます。しかし『アレルギー』とはどのようなものかと言うことが必ずしも明確ではありません。

そこで初めに『アレルギー』とはどのようなものかを確認しておきたいと思います。『アレルギー』という言葉が最初に使われたときは『食べ物や枯れ草、花粉などの物質に対する生体の反応で、通常とは変わったもの』のことでしたが、その後その中でも『生体に不利有害な反応』を意味するようになり、さらに免疫学の発展とともに、『免疫が関わっているもの』という条件が加えられるようになってきました。まとめると『物質に対する通常とは変わった反応で、生体に不利有害であり、免疫が関与しているもの』ということになります。変わった反応を起こすその物質によって、卵アレルギー、牛乳アレルギー、杉花粉アレルギー(杉花粉症)、ダニアレルギー、あるいは物質を特定できないときばかりではなく少し広く漠然と、食物アレルギー、花粉アレルギーなどと呼ばれることもあります。原因物質にかかわらず症状によって気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などの病名で呼ばれることもあるわけです。

食物に対して通常とは変わった反応を示す場合でも、免疫の関わりを簡単には証明することが困難な場合が過半数を占めていますが、そういうものは『アレルギー』学の対象から除いてしまおうという考え方があります。しかしここでは食物アレルギーの歴史の流れも考えて、このようなものも食物アレルギーとして扱っていくことにします。


臨床的には食物アレルギーと区別のつかないものに、化学物質過敏症(ランドルフ)とイーストコネクション(クルック)があります。前者は微量な(法律の定める許容量よりずっと低濃度の)化学物質に反応して、別記(T.ランドルフの表)のように多くの症状の原因となっています。現在では水道水の汚染にさえ反応し、微量な排気ガスなどに反応するため外出も出来ずに空気清浄器を備えた部屋で多くの時間を過ごさざるを得ない人もいます。後者は主に体内のイースト菌カンジダなどの影響で、全身にいろいろな症状を起こしてくるものです。いずれも食物アレルギーと一体となって病態を作り出しており、特に重症患者ではこれら全てに対する治療が必要になります。どれも病気を起こすメカニズムの詳細はまだ不明なことが多く、これらをまとめて『過敏性症候群』とでもしておき、研究していく必要があると感じています(即時型アレルギーのメカニズムについては研究が進み、その詳細が明らかにされてきています)。

↑top

見出しA. アレルギーの診断

一般的に言えば、アレルギーの診断で中心になる事柄は、患者さんが『アレルギーになっている物質』(これをアレルゲンといいます)を明確にすることです(アレルゲン診断)。しかし、患者さんの病気や症状がアレルギーを原因にしていることがハッキリしているのならいいのですが、そうでないときには、その病気や症状がアレルギー性のものなのか否かを見分けなければなりません。?で触れているように、アレルギー、特に食物アレルギーでは、常識的にアレルギー性とは見なされていない多くの病気や症状が多数ありますから、このことをどこまで知って診療に当たるかで、診断に大きな差が生じてきます。

ヒトがアレルギーになる場合、アレルゲンが一つだけではなく、例外なしに複数のアレルゲンが関与していると考えなければなりません。アレルゲンになる可能性のある物質は食物や花粉、カビなど、考えただけでも無限にあるといえますから、アレルゲンの診断に当たっては、その患者さんが接触する可能性の高い物質の中から、幾つかの主要なアレルゲンを確定し、これらに対策をとって症状が改善することを目指すことになります。

アレルギーには幾つかの型があり、型によって診断方法に違いがあります。

1. 即時型(ハッキリ型)アレルギー

吸い込んだり、食べたり、注射をされたときになどに、15分から30分以内に反応が起き、症状が出てくるアレルギーです。花粉、ダニ、ハウスダスト、動物のフケや毛、羽毛などのアレルギーは、多くの場合この型のアレルギーで始まります。食物アレルギーも即時型アレルギーを起こすことがありますが、食物アレルギーのごく一部だけとされています。

この型のアレルギーは、特に食物アレルギーでは、注意深い観察でおおよその診断が可能ですが、皮膚テスト(スクラッチテスト、プリックテスト、皮内テストなど)、血液を使ったIgE・RASTで診断ができます。

アレルギーが重症化してきて、スクラッチテストでさえ腕全体が腫れ上がって、アナフィラキシーを起こした例を経験して以来、私は診療所で行うことに怖さを感じ、皮膚テストを止めています。なおRAST検査と皮膚テストの一致率が高いことが分かっています。

即時型アレルギーでは直後の反応が収まってから、数時間後にもう一度反応を起こすことがあります。これを遅延反応といいます。一度症状が治まっても、遅延反応で起こる症状にも注意が必要です。


2. 遅延型(隠れ型)アレルギー

食物やカビのアレルギーの多くがこの型のアレルギーで始まり、摂取後48時間で反応がピークに達することが多いとされていますが、食物アレルギーでは72時間してから症状が出てくることもあります。食物やカビのアレルギーの一部は即時型アレルギーも示しますが、このことはアトピー性皮膚炎の重症化が進んでくるに従って増えてきました。

通常の皮膚テストでは、一部(特にカビ)は24時間から48時間後の判定で遅延型アレルギーの診断が可能です(ツベルクリンは結核に関わる遅延型アレルギー反応を利用したものです)。食物やカビのアレルギーは、IgE・RASTでは、一部の即時型アレルギーを起こしているもの以外は診断できません。


3. 食物アレルギー

通常の皮膚テスト、IgE・RASTでは正確には診断できません。

特殊な皮内テストであるMillerの方法で診断可能ですが、実施しているところがごく限られています。

食物日誌(口にしたものと症状の変化を時間を追って記録する)、皮膚症状などで疑わしい食物を推定して、除去による症状の消失、再度の摂取で症状の誘発を三回確認して確定診断となります。厳密には二重盲検法で行います(除去負荷試験)。公認された診断方法はこれのみ。ただし、負荷試験のときの食物の量、患者さんの体調、ストレスの状態、天候なども結果に影響しますから、誤診の(アレルギーがあるのに無いと診断する)可能性があります。負荷試験もですが、食物日誌や長期の観察が重要と思います

私は皮膚症状の特徴、症状出現時の食物記録からアレルゲンを推定し、RAST検査を参考として診断してきました。最近の数年は食物アレルゲンの増加や汚染物質の影響も強くなり、診断が難しくなってきていました。そこで大村恵昭医学博士( ニュ−ヨーク心臓病研究ファウンデイション研究所長、ニューヨーク医科大学教授)創始のバイ・ディジタル O-リングテストを援用して、診断し、治療を進めています。(『図説 バイ・ディジタル O-リングテストの実習:医道の日本社』などを参照してください。インターネットでも情報は得られます。 )

↑top

見出しB. アレルギーの治療

どのような病気も症状も原因が一つだけということはまれです。喘息や蕁麻疹でも、アレルゲンだけでもカビやダニや花粉、そして幾つもの食物が原因になっていますし、その他にも睡眠不足や感染なども関わっています。リウマチや高血圧では原因不明とされますが、それでも幾つかの食物が関わっていることが少なからず確認されます。症状の悪化の原因にアレルギー以外のものの関わりが大きいなら、そちらの治療が優先されることは言うまでもありません。

ここではアレルギーそれ自体の治療を中心に述べます。アレルギーの結果としての症状に対する治療(対症療法)については余り触れていません。


1. 原因アレルゲンの除去、回避

アレルゲンによって対応が異なります。

食物アレルゲンでは、除去食とするのが基本です。しかし、油の選択と量、水の対策、お米の選択、摂取量と摂取頻度などを工夫することで、厳密な除去が緩和されることがあります。

ダニ、ハウスダスト、カビなどでは、吸い込まないようにするために、環境から減らすようにします。湿度を下げる、布団などを天日に干す、掃除を徹底するなどでしょう。

花粉は季節により変動がありますが、個人的に元を断つことは困難です。マスクの使用などが必要になります。

動物のフケや羽毛では動物や鳥に近づかないことですみます。


体内に取り込まれる量を考えると、吸入性のものより食物が重要です。食物の注意で杉花粉症なども非常に軽くなることから、このことが分かります。


同時に化学物質の回避にも心がけます。タバコ(屋内の喫煙はもちろん、衣服に付着した臭いも問題)、食品添加物、着色料、香料、化粧品、殺虫剤、ワックス、各種のスプレイ、排気ガス、水の汚染など際限ないともいえます。


2. 整腸剤、消化剤

腸内細菌がアレルギーの惹起に関与しており、ビフズス菌や乳酸菌の類を増やすことが有効です。便通を浴することも重要です。但しどのような整腸剤が有効化、個々に検討が必要のようです。

食物アレルギーは消化をよくする(未消化の蛋白の吸収が減少するのでしょう)と軽くなることがあります。


3. ビタミンやミネラル

アレルギーや化学物質過敏症では、代謝に関わる酵素やホルモン、自律神経などの関わりもあるようで、ビタミンやミネラルの補給で改善を見ることがあります。


4. ストレスを減らす

あらゆるストレスがアレルギーを悪化させます。特に睡眠不足の影響が大きいと感じますが、疲労、感染、精神的ストレス全て悪化の原因になります。(過労死は過労や睡眠不足、あるいは精神的ストレスも大きくなっていて、アレルギー反応が起こりやすくなっている状態で、コーヒーやアルコールなどアレルギーを起こしやすいものを摂取して、血圧が急上昇したり心臓や脳にアレルギーを起こした結果ではないかと私は考えています)


5. 抗アレルギー剤

実に多種類の抗アレルギー剤があります。種類が多いことは、全ての患者さんに決定的に有効なものがないということで、次々と開発されてきたということです。実際に患者さん個々に有効なものを選択しないと、効果の出にくいものを幾種類も服用することになるようです。病状が同じでも、アレルギー反応の隠れたメカニズムに差があるのでしょう。


6. 漢方薬

漢方薬も適切に使用されると、アレルギー自体が軽くなると思われます。適切な選択が前提です。


7. 免疫療法(減感作療法)

吸入性アレルゲンの主にハウスダスト、ダニ、花粉のアレルギーに対して行われます。皮膚テストの基づいて決めたアレルゲンエキスの適切な希釈液を、定期的に皮下注射して、アレルギーを起きにくくします。カビアレルギーでも行われますが、危険とする意見もあります。食物アレルギーには効果がないとされています。(私は皮膚テストをしなくなってからは、殆ど行っていません)。


8. 中和療法(皮下注射法、舌下法)

食物エキスを適度に希釈して(普通の減感作療法よりはずっと高濃度である)皮内注射をすることによって、アレルギー反応を中和して症状を予防したり消したりする。行っている施設はごく限られている。(私はかつて皮内注射法で行ったことがありますが,今は行っていません)


9. その他

経口減感作の試みがありますが、まだ試験的な段階です。

その他、ヒスタグロブリン療法、ワクチン療法などがあります。


10. 最近の治療から

 電子レンジの使用の有用性と危険性

アレルギーを起こさないはずの食物を電子レンジで電磁波処理(『チン』)をしたとろ、アレルギー症状を誘発してしまいました。このことから『チン』すると食物のアレルゲン性が変化するので、逆に治療に利用できることが分かりました。個々の患者さんで判断しなければなりませんが、アレルギーを起こす食物を除去する代わりに『チン』した食物を使用できることがあるのです。しかしながら観察を続けてきて、『チン』した食物が大丈夫なのは一時的なことで、ある期間を過ぎると多くの場合は『チン』した食物は合わなくなってしまう例が多く、このことから食物は本来的には『チン』すべきではないと考えられます。

 玄米食が合う人が増えているようです

但し、『チン』した食物が合わなくなった後、米は玄米が合うようになる例が多く見られ、同時に除去しなければならない食物が減って、治療しやすくなるように感じています。『チン』するのが良いのかどうか、どの時点で『チン』をはじめ、いつ止めるのか、そしていつ玄米に切り替えるのか、ということを個々の患者さんでどのように判断するかが鍵になります。 

 水の重要性

重症あるいは治りにくい患者さんでは水の影響を無視できません。それは水道水のみならずペットボトル入りの自然水や、浄水器を通した水についても言えることです。原因は不明としか言いようがありませんが、このようなことが最近数ヶ月前から特に目立ってきたと感じています。水道水を『チン』することで対応していますが、今後の検討が必要です

 電磁波に注意が必要

健康障害の原因として電磁波が問題にされるようになってきています。7月に開催された臨床環境医学会でも幾つかの報告がありましたが、アトピー性皮膚炎でも電磁波で悪化すると判断せざるを得ないような患者さんがいることは以前から日常的に経験することです。食物アレルギーで多くの症状や疾患が引き起こされるように、電磁波も多くの症状、疾患に関与していると言えそうであり、電磁波と健康障害の問題は今後の大きな課題となっていくと思われます。ただ、食物の『チン』(電磁波処理)では食物の構造変化の実態の解明が課題であり、生体が電磁波を浴びるときの影響とは別の問題です。

今のところ以上のようなことを判断する方法が確立していません。大村恵昭博士のオーリングテストは未だ一般に広く容認されていませんが、私の知る限りでは臨床的に役に立つ唯一の簡便な方法であると思います。

原因が不明とされていて、治療が困難な症状・病気に関連して、このように食物にはじまって化学物質やカビや花粉、そして電磁波までが原因となっていることが見えてきています。このことから薬物療法や心療内科的な治療などに加えて、環境因子の中に病気の原因を探し出し、この原因を除くことを考えていかなければならないことが、いよいよはっきりしてきていると感じられます。

11. 最近の治療から 2

米アレルギーの治療

成人でも乳幼児でも、新たに来られる患者さんはほとんど100%、米のアレルギーがあり、これが最大の問題だと感じています。これまで20年以上の間、米アレルギーに対しては、玄米、低アレルギー米、『ゆきひかり』、酵素米、分づき米、米の除去(主食を米以外いろいろな物を使用)など多くのことを試みてきました。米以外の主食穀物にもすべてアレルギーという患者さんもいて、一食ごとに主食を替えてやっとのことで乗り切ってもらったこともありました。そして前項の10に書いたように、電子レンジ処理(『チン』)が救いに思われたのですが、期待通りにはいきませんでした。

その後それでも治療成績がよくなっています。白米、玄米、「ゆきひかり」のどれかが適応することが分かり、時には『チン』した白米ご飯(一時的のことが多い)を使用することで大部分はよくなっているのです。そしてしばしば合っている『米』がこれらの間で変化し、最終的には多くが玄米か『ゆきひかり』に落ち着いていく傾向が見られています。また悪化したときは、多くの場合『米』の変更で改善することに私自身もびっくりしています。悪化したときにどの『米』を選ぶかが鍵であり、いまのところはO-リングテストで選択しています。以前のように一つ一つ試して合ったものを選ぶというのでは、その間に合ったものが変ってしまう可能性もあり、対応できないといえます。

アトピー性皮膚炎治療の最近の状況

別記のように電子レンジで『チン』するとアレルゲン性が変化することを知り、O-リングテストを援用するようになってから、分かってきたことがあります。?もともとの湿疹は軽くても、皮膚の抵抗力が低下しているのでしょう、細菌ばかりではなくタムシなどの白癬菌が感染を起こし、皮膚炎を悪化させている。?ほとんどの患者さんで米のアレルギーが認められ、米に対する反応はしばしば変化していて、玄米、普通の白米,『ゆきひかり』、『チン』した白米と、食べられる米がしばしば変化しているために、軽快増悪を繰り返していることが非常に多い。?水道水、自然水、浄水器を通した水どれもが悪影響を持っていることが多く(本年2月頃に気づいたことです)、重症患者では水の対策が必要である。?以前から重症患者では植物油は殆ど使用できないことが多かったが、油の選択が重要であり、しばしば使用してはならないことがある。?電子レンジの使用は原則的には否定されるものであり、一部に使用を要するが、一時的なことである。?これらのことを以前のように試行錯誤的に確認しながらの治療では、米に対する反応の変化にもついていけず,O-リングテストの援用が不可欠になっている。

以上の様なことを念頭において食物の適否を判断し治療をしてきましたが、そうすると多くの場合、米アレルギーのコントロールが上手くいくかどうかが最重要となってくるようです。こうして私がこれまでに経験した中でも最重症の患者さん(10年間重症の湿疹が消えなかった)が改善することをみています。

↑top

見出しC. 食物アレルギーの医療はどんな病気や患者さんを治療するのか

T.ランドルフの表※1、及びJ.ミラーの症状一覧表※2から分かりますように、全身にわたるすべての症状や病気が対象になります。ガンそれ自体は対象ではありませんが、ガンによる痛みは対象になります。身体症状だけではなく、精神症状、心の病気も入ります。これは先ず食物アレルギーの嘘みたいな本当の話です。体に取り込まれた食物や化学物質は全身をめぐっているのですから考えてみれば不思議ではありません。患者さんの苦痛、治療効果、経済的負担などを考えれば、最初に食物アレルギーのかかわりをチェックして、検査治療に入るのがよいと考えています。


「食物アレルギー」の症状

ここに示すのはTheron .G. Randolphが食物と微量の化学物質に反応した患者が示した症状をまとめて、Annals of Allergy. (40:333-45,1978)に発表した一覧表と、Joseph B.MillerがFOOD ALLERGY Provocative Testing and Injection Therapy(CHARLES C THOMAS 1972)にまとめている食物アレルギーによって生じた症状です。これらの症状が食物や化学物質によって起こる頻度は稀というものではなく、非常に高いというのが私の経験的印象です。(どれだけ徹底して原因を追及するかにかかっている)


次のような症状のある人(食物アレルギーの症状の特徴)

1) 慢性、反復性の病気 (繰り返す頭痛や何週間も続く咳など)

2) 深夜から明け方、早朝に症状が強くなる (寝るときは元気で、夜中に痛くなったり苦しくなるなど)

3) 症状が原因もなく移動したり変化する (痛みが左から右に移ったり、痛みが消えて動悸が始まるなど)

4) いろいろな症状が出没するが、通常の検査では異常がない (気持ちの問題とされてしまう)

5) 主要な症状以外に、わずかであっても皮膚や胃腸に症状がある (時々もたれたり、かゆみやくすみがあるなど)

6) 疲労や睡眠不足で症状が強くなる


誰が診てもアレルギー性の病気

1) アトピー性皮膚炎 (アレルギーなのかという疑問は出されていますが)

食物アレルギーだけの例は少なく、水道水汚染も含めて化学物質、身体内外のカビやイースト、細菌、白癬菌、ダニや花粉などの関わりがあり、最も治療が難しい。(子供より大人が大変)

2)気管支喘息

大人も子供も食物の管理でほとんどの喘息は発作を予防できるが、多数の食物や化学物質で発作を起こす人は、薬が必要になる。

3) 蕁麻疹

急性蕁麻疹も慢性蕁麻疹も多くが食物アレルギーを原因としているが、時にはイーストやカビ、ダニ、化学物質が原因になっている。ごくまれに原因不明のこともある。(通常慢性蕁麻疹は原因不明とされているが、決してそんなことはない)

4) アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎

スギ花粉症で起こるものが典型と言えそうですが、スギ花粉症も食物アレルギーの治療(除去食)で非常に軽くなってしまいます。それは鼻炎も結膜炎も同じです。


アレルギーとは思われていない病気・症状

食物との関連に注意して病気・病人を診ていますと、アレルギー性とは一般に考えられていない病気・症状が、食物に対する反応を原因にして起きていることが非常に多いことに驚かされます。ランドルフとミラーの表を見ていただくとそのことが分かりますが、多くの人には実感がわかないでしょう。私も30年以上食物アレルギーの診療をしてきて実感できたことです。

1)慢性の胃腸の症状 (アレルギー性胃腸症のことが多い)

40年も下痢が続いていたが、ひとつの食物を除去しただけでよくなった例を経験しています。最近そのような患者さんが増えているようですが、慢性の下痢や胃炎で悩む人の中にこのような方が少なくありません。

2) 頭痛 (アレルギー性頭痛)

頭痛で悩む人は600万人もいると推定されていますが、医療を受けているのは20%以下とのことです。頭痛は幾つにも分類されていますが、食物アレルギーとして除去食治療しますと、全体として80%前後は症状が消失し、予防されています。 頭痛の多くはアレルギー性ということになります。

3) めまい、耳鳴り、メニエール病など

回転性のめまい、ふらつくめまい、出没する耳鳴りなど、頭痛に伴うこともありますが、多くの場合食物アレルギーが関わっていて、除去食が有効です。

4) 倦怠感、脱力感

不定愁訴の方が大抵は訴える症状ですが、原因不明とされ、ひどいときは突然立てなくなることもあります。食パン一切れで3時間立てなくなる人さえいました。

5) 不定愁訴症候群

更年期障害のようにいろいろな関連のない症状が出没し、本人は非常につらいのに、通常の検査では異常がなく、怠け者と思われていたり、心身症やうつ病の診断を受けていることがあります。実は食物アレルギーの一番の典型が不定愁訴症候群だと思います。食物アレルギーとしての治療が最も効果を発揮するのが不定愁訴だといえます。

6) うつ病などの精神疾患

市川には国立精神神経センター国府台病院があります。ここに受診中のうつ病や統合失調症の方が不定愁訴で来院することがあります。除去食療法で不定愁訴が改善すると同時に、もともとの精神疾患も改善するようです。また、不定愁訴の人はうつ傾向多く、これも食事療法などでよくなるものです。

エイブラム・ホッファーは統合失調症の患者160人を4日間絶食させて、100人で症状の消失を見たといっています。(マンデル博士のアレルギー治療法;M・マンデル著、河野泉訳、桐書房、1989年)

7) 関節リウマチ、その他の関節痛、筋肉痛

関節リウマチは原因不明ですが、ほとんどの例で食物アレルギーが関与しています。その他の関節や筋肉の痛みも同様で、除去食だけで治る例もあります。成長痛とされる子供のひざの痛みや五十肩と称される肩関節周囲炎も例外ではありません。

8)しびれ

原因不明のしびれや、解剖生理学的に説明の出来ないしびればかりではなく、頚椎や腰椎の異常がハッキリしていると思われるものでも、しばしば食物が原因になっています。多くはしびれが出没したり増悪軽減を反復したり、移動します。

最近九州大学大学院医学研究院神経内科の吉良潤一教授が、アトピー性皮膚炎の患者の頚髄に好発して特異な病像を示す「アトピー性脊髄炎」という新たな病気の存在を提唱されていることを知りました。手足のジンジンする異常な感覚が主な症状で、急にあるいはやや急に症状が始まり、症状は強くなったり軽くなったりしながら、長い経過をとり、副腎皮質ステロイド、血漿交換での治療が有効ということです。

9) 血尿、蛋白尿、浮腫、腎機能障害、慢性膀胱炎

血尿、蛋白尿で慢性腎炎とされていたり、原因不明の浮腫(むくみ)があったり、腎臓の機能が低下してきている人で、食物アレルギーの治療で浮腫が取れ、腎機能が改善している例が見られます。食物アレルギーによる慢性膀胱炎の報告もあります。

今年(2004年)3月で14年目を迎えた腎不全の患者さんがいます。14年前に血清クレアチニンが3mg/dlを超えることもあって、5年で腎透析になると予測されたのですが、食物アレルギーの治療を続け(腎に悪影響を与える食物の除去)、腎に副作用を示す薬物を除去・変更し、現在もクレアチニンは3mg以下(14年前よりも低値)を維持しています。食物、薬物の選択にはオーリングテストが役に立っています。

10) 発熱

微熱ばかりではなく、38度もの熱が2ヶ月3ヶ月続き、いくら検査を受けても原因不明などという例があります。このような場合でも、ひとつの食物の除去で解熱することがあります。夜中に39度にもなったのに、朝には熱はなく元気ということもよくありますが、こんなことも食物アレルギーでは起こります。

11)自閉症

自閉症は今も原因不明であり、治療法は確立していません。これまでに数人の成人した自閉症の患者さんを診ていますが、いずれもアトピー、喘息で受診された方で、食事アレルギーの治療によって、一定の改善を見ました。

精神科医で、精神疾患を食物アレルギー、化学物質過敏症として治療しているウイリアム H. フィルポットの著書「ブレイン・アレルギー(脳のアレルギー)」のプロローグに、バーナード リムランドは「治療に行き詰っている、自閉症児やこれと類似のひどい行動異常の児を持つ多くの家族に出会い、フィルポット先生に紹介してきた。「脳のアレルギーとして治療をされて、少なからざる児が驚くべき改善を見せた。脳のアレルギーが非常にしばしば自閉症の原因になっているのである」と書いています。この本の中に、3歳の自閉症の女児が食事アレルギーと化学物質化敏捷として治療され、1年足らずの間に、異常な行動が見られなくなったり、発語が可能になるなどの、顕著な改善を示した実例が報告されています。

12)月経困難―生理痛

生理痛の原因は解明されているようで、原因療法が必ずしも出来ていないように思えます。アトピーの若い女性を治療していて、生理痛が消失する例が非常に多いことに気がつき、観察を続けていますが、多くの例で消失し、全く良くならないということが殆どないことを確信するにいたっています。それも不思議なことに、婦人科で子宮内膜症と診断されている例でも、全く生理痛が消失してしまうのです。ごく最近、食生活が乱れたら再発してきた人がいました。婦人科の先生方に月経困難の原因を再検討していただくことをお願いします。

13)更年期障害

更年期障害は、更年期になって女性ホルモンの分泌が低下を原因として見られるようになる、のぼせやホテリ、異常な発汗、手足の冷え、息切れ、動悸、肩こりなど多くの症状を示す状態とされています。

食物アレルギーでは、男性でも女性でも、更年期とは無関係に同様の多彩な症状を示す患者さんが少なくありません。多くは「自律神経失調症」、「心身症」、「仮面うつ病」などと診断されていますが、女性ではそのような人が更年期に入ると、突然『更年期障害』と診断が変わります。このような例は、更年期であろうとなかろうと、食物アレルギーとして治療するとその多くが良くなります。更年期障害で治療効果に満足できない方は、食事療法を試みてください。

14)動悸、不整脈、頻脈発作、狭心症など

急に動悸がしたり、脈が乱れたり、脈が速くなって、胸苦しくなる、特に無理もしていない安静時に狭心症が起きる、この様な『発作』を起こす患者さんは決して少なくありません。そして発作の無いときに心臓を検査しても、特に異常は見つからないと、原因は精神的なこととされてしまいますが、多くの場合は思い当たることが無いのではないでしょうか。人によって、コーヒーや大豆、サラダ油、果物などいろいろな食物で、この様な発作を起こしていることが少なからず観察されています。

15)「風邪」などに伴う嘔吐、下痢、腹痛

風邪を引くと嘔吐、下痢、腹痛を起こす小児はよく見られます。このような場合「風邪」のウイルスが胃腸症状の原因だと説明されているようです。私はこの説明に納得できず、食物に原因があると考えて、チェックを続けてきましたが、殆どの例で原因となっている食物アレルギーが判明します。時には風邪の症状自体がアレルギーを原因としています。日頃は何事も無く摂取している食べ物にも、軽いアレルギーがあり、それが感染や疲労、睡眠不足などのためにアレルギーが出やすくなり、症状を引き起こしてくるのです。その食物を特定して、感染や疲労や睡眠不足の時には食べないようにすると、嘔吐も下痢も腹痛も起こさずに済むということになります。

保育所などでこの様な「風邪」が集団発生することもありますが、一例一例を注意深くチェックすると、同じように消化器症状の原因になっている食物を確認することが出来ることがあります。

↑top

Copyright (C) 2003-2005 Izumi Kono, All rights reserved.

サイバー診察室

| ホーム || Dr.河野のアレルギー講座 | Dr.河野の健康歳時記 | 診療所スタッフだより | 子育てコーナー |


inserted by FC2 system